第3回藤原ナチュラルヒストリー財団フォトコンテスト・受賞者のコメント 2012.06.14
本年度が第3回となる、2011年藤原ナチュラルヒストリー振興財団フォトコンテストは、2010年11月30日に応募を締め切りました。今回は53点の応募があり、厳選な審査の結果、以下の様な結果となりました。
今年度は、応募点数こそ昨年より少なかったですが、すばらしい写真が多く、選考はたいへんでしたが、これまでと同様に、審査委員会で一次審査を行い、優秀と認められた作品に関し、募集要項に記載したように自然の美しさやすばらしさを表現した作品で、自然史を表現しているという観点から最優秀賞と優秀賞の選定を審査委員会にて検討をしました。
その結果、最優秀賞候補作品は、小松貴さんの「よりきりっ!(クロナガアリの相撲)」、優秀賞候補作品は、大北浩士さんの「こりゃ涼しいな~」と星野雅彦さんの「有機的ミクロ無機的マクロ」とすることを審査委員会の結論といたしました。この3点はどれも力作で、どれを最優秀賞とするか選考は難しかったのが現実です。また、それ以外で優秀な作品5点を佳作として選定することも提案しました。 この決定は2012年の1月に開催された理事会の承認を経て正式に決定されました。
- 最優秀賞
- よりきりっ!(クロナガアリの相撲) (11008|小松 貴)
- 優秀作品
- こりゃ涼しいな~ (11037|大北 浩士)
- 有機的ミクロ無機的マクロ (11039|星野 雅彦)
- 佳作
- 命のつながり (11009|堀 繁久)
- 霧のサワグルミ (11011|松木 悠)
- カモシカと見つめ合うヒトトキ (11016|柏木 健司)
- モンスターが現れた! (11025|岡久 雄二)
- 青雲、それは君が見た光 (11026|前野 浩太郎)
最優秀作品
よりきりっ!(クロナガアリの相撲) (11008|小松 貴)
黒長蟻は、草の種ばかり集める温厚な蟻。でも餌場を侵すライバルに容赦はしない。彼等の戦いは儀式的な相撲。互いに背伸びで威圧し、どちらか引かねば取っ組み合う。脚を引っかけ転ばそうとする。数秒後、見事投げ技が決まった。負けた方は、大事な餌場を取り戻すため、それでも何度も挑む。八百長なしの、真剣勝負。
優秀作品
こりゃ涼しいな~ (11037|大北 浩士)
猛暑が続く真夏の公園。子供たちの声がこだまする涼しげな噴水広場で、一匹のアブラゼミがジージーと鳴き声をあげていました。写真を撮ろうとレンズを向けたその時、目の前をかすめるように飛び立ち、反射的にセミに向かってきった一枚が、2度と撮ることができない1枚となりました。
有機的ミクロ無機的マクロ (11039|星野 雅彦)
生命の深奥には宇宙と見紛うばかりの世界が広がり、また、星の生き死にはさながら、生命そのもののようでもある。作品「有機的ミクロ無機的マクロ」は私たちが感じている生命の持つ複雑な構造美、ひいては、宇宙を司る天体の物理的調和を言わば可視化した標本であり、それは同時に生命それ自体に対する問い掛けでもある。
佳作
命のつながり (11009|堀 繁久)
海の栄養を森に運び、子孫を残して力尽きたホッチャレ。森も川も海も、命はつながっている。
霧のサワグルミ (11011|松木 悠)
京都某所で6月に撮影したサワグルミです。山あいに佇んでいると谷を越えて霧が流れてきて、辺りは白く覆われてしまいました。鳥や虫たちも大人しくなり、静かな一時となりました。
カモシカと見つめ合うヒトトキ (11016|柏木 健司)
黒部峡谷の鐘釣にある、とある急崖での出来事です。探検調査を終え、暗黒の鍾乳洞から出て太陽の光を浴びていると、目線の左上にカモシカがこちらをじっと見つめているのに気付きました。急崖にぽっかりとあいた暗闇から、ぬっと出てきた人間を、カモシカはどういう気持ちで眺めていたのか、是非、聞いてみたいものです。
モンスターが現れた! (11025|岡久 雄二)
ニューカレドニアの森から、飛べない鳥「カグー」がとび出してきました。
天国に一番近い島として有名なニューカレドニアですが、天然林はわずかしか残っていません。彼は、脆弱な生態系を代表して人間に怒りを表明しているのかもしれないですね。
青雲、それは君が見た光 (11026|前野 浩太郎)
果てしなく続くサハラ砂漠で、僕が見た希望は、幸せの青い雲を見つめていた。
これからどんな風が吹くのかわからないけど、お互いにうまくいくといいね。
そよ風で揺れ動く触角が、まるで手をふるように僕を優しく励ましてくれた。
ありがとね。がんばるよ。
P.S. 貴方のこと、もっと知りたいから、貴方を追いかけ回します。
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当財団は、ナチュラルヒストリーの研究の振興に寄与することを目的に、1980年に設立され、2012年に公益財団法人に移行しました。財団の基金は故藤原基男氏が遺贈された浄財に基づいています。氏は生前、活発に企業活動を営みながら、自然界における生物の営みにも多大の関心をもち続け、ナチュラルヒストリーに関する学術研究の振興を通じて社会に貢献することを期待されました。設立以後の本財団は、一貫して、高等学校における実験を通じての学習を支援し、また、ナチュラルヒストリーの学術研究に助成を続けてきました。2024年3月までに、学術研究助成883件、高等学校への助成127件を実施しました。