公益財団法人 藤原ナチュラルヒストリー振興財団 | Fujiwara Natural History Foundation

2024.03.28 収支予算

2024年度収支予算書

2024.03.28 情報公開

2024年度事業計画

2024.03.10 フォトコンテスト

第15回フォトコンテスト・全作品公開

2024.03.08 助成案内

第31回学術研究助成 研究成果報告書・決算書 (2022年度)

2024.03.05 フォトコンテスト

第15回フォトコンテスト結果発表および受賞作品・コメント

2024.02.01 助成案内

第32回学術研究助成 実行予算書 (2023年度)

2024.01.31 フォトコンテスト

第10回中学生・高校生フォトコンテスト(2023)・全作品公開

2023.12.25 フォトコンテスト

第10回中学生・高校生フォトコンテスト結果発表および受賞作品・コメント

2023.12.22 高校生ポスター研究発表

第13回高校生ポスター研究発表報告

2023.12.22 シンポジウム

九州シンポジウム「天変地異の時代〜火山列島に生きる〜」  レポート

2023.11.24 シンポジウム

第15回シンポジウム「味の自然史」(ハイブリッド)感想 

2023.09.19 フォトコンテスト

第15回 フォトコンテスト開催【10月1日募集開始】

第9回高校生ポスター研究発表報告 2018.12.14


第9回高校生ポスター研究発表会では16件(10高校)の発表が行われた。

10人の審査委員が「自然史(ナチュラルヒストリー)」と「分かりやすさ」の2点に留意しながら、5段階評価を行った。

その結果、早稲田大学高等学院(3年生)の並木健悟さんによる「クロクサアリがヒトスジシマカ (メス)に与える致死的影響~クロクサアリは殺虫効果のある気体を分泌するのか?~」が最優秀賞に選ばれた。

また、筑波大学附属駒場高等学校(2年生)の周 亮安さん、今田敬都さんによる「ボウフラの生態から考察される生き残り戦略について」、並びに東京都立科学技術高等学校(1年生)の坂本龍生さん、永井龍仁さん、小島陽介さん、奥野浩弥さんによる「砂の中のミクロな世界!?~間隙性貝形虫の未記載種と思われる種の発見~」の2件が優秀賞に選ばれた。

今年も良い研究が多く、賞に選ばれなかった発表も僅差であり、さらなる発展を期待している。


【レポート】西田治文 (中央大学理工学部教授・財団理事)

本年度は10校16件,のべ47名の参加があり,早朝のポスター貼り付けから午前中の審査の間,会場が手狭になるほど賑わったことは,誠に喜ばしくまた有難いことでした。高校生諸君と指導にあたられた先生方には,財団関係者一同,心よりの感謝を申し上げます。

自然は壮大なものです。自然史はそういう世界から興味を引き出し,探求しますが,大切なのは結果を記述してゆくことです。その結果は, 物理や化学の実験のように計画的に,あるいは明確な論理にしたがって明確に導けるものではありません。それは,自然現象や生物のあり方が多様な要因によって変動する複雑系であるためです。このような対象を研究する場合には,限られた時間のなかで簡単に結論が出ないということが当たり前のように起こります。したがって,限られた高校生活の中で行う皆さんの研究にも, 初期段階の観察記録や 実験過程の記述から,さらなる考察や確認などへの展開,一定の結論に至るものまで,様々な段階が見られます。時には,先輩から後輩へと引き継がれて初めて全体の様相が見える場合もあります。本財団の研究発表審査にあたっては,そのような様々な研究段階のそれぞれに価値があると評価しています。その中で優劣を評価するのは,はなはだ心苦しいことですが,やはり着想や研究手法,得られた結果を総合すればそれなりの違いが見えてきます。今回の発表会で最優秀と評価された並木健伍さんの研究は,そうした評価基準に照らしてすべての審査員が納得するものでした。優秀賞の2件は同票を獲得しましたが,次点の発表との差は大きなものではありませんでした。観察記録のような初期段階の研究は,現時点では評価点が高くはありませんが,いずれも将来につながるものですから,今後の進展に期待します。

生物関係の研究には,応用や観察方法の技術的改良につながるもの,環境問題に挑戦するものなども見られましたが,自然史という視点をどのように盛り込むかについて,どこかで意識していただければと思います。多くの発表が生物関係となる中で,気象や天体に着目した研究もありました。このような研究の場合には公的な観測記録が役に立つことがありますが,それを読み取るだけでなく,実際の身の回りの現象とどのように照らし合わせることができるかが重要になります。 最初に述べたように,自然は未知の存在と現象の宝庫です。より幅広い興味に根ざした研究発表が,さらに増加することを願っています。


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【最優秀賞】

クロクサアリがヒトスジシマカ (メス)に与える致死的影響~クロクサアリは殺虫効果のある気体を分泌するのか?~

自分の研究がこのような評価をいただいたこと大変嬉しく思います。ご指摘いただいたことを参考に、今後も研究を発展させていきたいと思います。シンポジウムでは「海洋島の自然史」というテーマで御話がありましたが、生物史などに関する新たな知見に大変興味を惹かれました。有難うございました。

早稲田大学高等学院 並木健悟


【優秀賞】

ボウフラの生態から考察される生き残り戦略について

優秀賞をいただけたことを大変光栄に思います。今回の発表において、良かった点と良くなかった点を大変わかりやすく示していただきありがとうございました。良かった点を忘却せず良くなかった点を改善して、今後も研究活動に邁進して参りたいと思います。

筑波大学附属駒場高等学校 今田敬都、周 亮安


砂の中のミクロな世界!?~間隙性貝形虫の未記載種と思われる種の発見~

この度は優秀賞を頂きありがとうございます。この研究を築いてくれた先輩方と、ご指導して頂いた先生方に感謝申し上げます。 今後も多くの人に貝形虫の魅力を伝えるため研究を続けていきます。そして、この受賞を糧とし、記載論文という「目標」を、「現実」に変えられるように、貝形虫の神秘に挑んでいきます。

東京都立科学技術高等学校 坂本龍生、永井龍仁、小島陽介、奥野浩弥


第9回高校生ポスター研究発表・参加校一覧 (PDF/106KB)

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当財団は、ナチュラルヒストリーの研究の振興に寄与することを目的に、1980年に設立され、2012年に公益財団法人に移行しました。財団の基金は故藤原基男氏が遺贈された浄財に基づいています。氏は生前、活発に企業活動を営みながら、自然界における生物の営みにも多大の関心をもち続け、ナチュラルヒストリーに関する学術研究の振興を通じて社会に貢献することを期待されました。設立以後の本財団は、一貫して、高等学校における実験を通じての学習を支援し、また、ナチュラルヒストリーの学術研究に助成を続けてきました。2024年3月までに、学術研究助成883件、高等学校への助成127件を実施しました。