第10回ナチュラルヒストリーフォトコンテスト結果発表および受賞作品・コメント 2019.01.17
第10回ナチュラルヒストリーフォトコンテストの審査結果を発表します。
以下は審査経過、審査委員長からの講評、受賞作品および受賞者のコメントになります。
審査経過
公益財団法人藤原ナチュラルヒストリー振興財団では、平成30年度第10回ナチュラルヒストリーフォトコンテストを行った。今年度のテーマも引き続き「身近な自然史」とし、応募期間は平成29年10月1日~11月30日、応募方法はメール添付とした。
募集方法としては、財団HPへの掲載、インターネットのコンテスト情報掲載サイト(登竜門)へ登録した。
総計で172作品の応募があった。
一次審査として、財団役員等が応募作品から5作品を選び、その中から最も良い作品を1つ選んで投票を行った。集計の結果、一次審査通過作品として21作品が選ばれた。
二次審査は、財団役員等が一次審査通過作品の中から3作品を選び、その中から最も良い作品を1つ選んで投票を行った。その結果、「No.107.寒い朝」が最優秀作品に、「No.13. 庭の小宇宙」および「No.29. 高知のカルストに輝く夜星空」が優秀作品に選ばれた。また、2次審査対象作品のうち13作品を佳作とした。
一次審査通過作品
No.1 ご一緒しても、よろしいですか? / No.12 朝日の石鎚山 / No.13 庭の小宇宙 / No.29 高知のカルストに輝く夜星空 / No.33 流しそうめん / No.36 ナミビア デッドフレイ / No.49 Blue / No.55 受け継がれる命 / No.59 愛する君へ?? / No.60 地殻変動の最前線・室戸岬 / No.89 テントウムシの産卵 / No.93 青空へ飛び立つアサギマダラ / No.99 太陽の恵みの七色の住まい / No.101 森の妖精 / No.107 寒い朝 / No.118 驚異の生命力 / No.134 雪上のランナー / No.138 追憶 / No.148 天に舞う羽衣 / No.163 輪になって / No.172 夕暮れの御輿来海岸
講評
本年度のフォトコンテストには総計で172作品の応募があった。昨年度は134件と年々増加しており、当財団の認知も進んできているようである。
最優秀賞の「寒い朝」は、水面の朝靄の中のゆく舟を捉えた幻想的な作品であり、鷺や鴨などがバランス良く収まっている。
優秀賞の2点「庭の小宇宙」および「高知のカルストに輝く夜星空」もテーマは異なるが迫力のある作品であった。
ここ数年、応募数の増加と共に作品のレベルも上がってきており、上記3作品以外にも素晴らしい作品が多く、13作品を佳作として選定した。
【最優秀賞】
「寒い朝」 (No.107 | 鹿島 和生)
年末7時半前後頃 熊本県江津湖撮影での1枚です。寒い朝江津湖に着くと朝霧で10m程先も見えないほどの世界、日が昇るにつれ少しづつ湖面が太陽に照らされ朝霧が薄れて行く中、鳥達がじゃれ合う様にカヌーの周りに飛び交いとても幻想的な一瞬、このチャンスを逃さないとばかりにシャッターを切り続けた中の1枚です。
※ 写真をクリックすると大きいサイズで見る事ができます。優秀賞・佳作も同様です。
【優秀賞】
「庭の小宇宙」 (No.13 | 上杉 裕昭)
庭に植えてあるサツキに蜘蛛の巣があるのですが、これに雨粒がかかっているのをマクロレンズで撮影しました。パソコンで拡大して見ると、それはまるで天体図鑑を見ているようでした。自然が作る素晴らしい世界です。
「高知のカルストに輝く夜星空」(No.29 | 山口 知也)
愛媛県と高知県の県境にある四国カルスト台地。ここでしか見られないそして撮れない風景と、特に星空は日本屈指と言われています。晴れた日の夜には天の川だけでなく、流れ星を肉眼で見ることができます。カルストから見る夜星空は天然のプラネタリウムそのものです。
【佳作】
「ご一緒しても、よろしいですか?」 (No.1 | 外ノ岡 和政)
近所の河原で、ムラサキツメクサの蜜を吸うモンキチョウの白色個体(メス)を撮影していたら、オスと思しき黄色個体が近寄って来ました。このあと仲良さげに一緒に蜜を吸って、一緒に飛び立っていくところまで観察をさせてもらいました。どうやら、オスはアプローチに成功したようです。良かった、良かった。
「朝日の石鎚山」 (No.13 | 池田 侑穂)
今回、多くの作品から選んでいただきありがとうございます。西日本最高峰である石鎚山は、愛媛県西条市と久万高原町の境界に位置しています。 私は朝日の石鎚山と星空を撮影するために、夜の23時に登山を開始し、暗闇の霧の中、懐中電灯と満月の月明かりの中、休憩しながら登頂しました。 待ちに待った朝日は最高でした。
「ナミビア デッドフレイ」 (No.36 | @taishixyz)
この写真は世界一周中に撮影した写真です。ナミビアのナミブ砂漠の一角に存在するデッドフレイ(死の沼)というポイントです。かつては川の洪水により形成された沼地だったのですが、水が干上がってしまいこのような状態になっています。900年前に枯れてしまった木々が砂漠地帯なので微生物が存在せず、分解されないので砂漠の真ん中に未だに存在しています。
この写真は影ができる朝方の15分ほどしか見れない貴重な瞬間です。
「Blue」 (No.49 | formula_mix)
「青っ!」そんな事を思いながらシャッターを切った1枚です。空と海が織りなす青のコントラストが本当に美しい場所でした。この場所以外にもきっと、美しい自然はたくさんあるのでしょう。そんな自然の美しさを求めて、これからも夫婦で旅を続けて行こうと思います。
「受け継がれる命」 (No.55 | MiKan)
入賞という形で自分の作品が評価されたことをとても嬉しく思います。自分の目に写ったそのままの色で、そのままの雰囲気で、出来事の一瞬を写真に収められたらと思いながら撮影をしています。これからも自分らしい作品を作っていけたらと思います。
「愛する君へ??、」 (No.59 | 尾上 八郎)
カワセミを初めて見た時からその姿に魅了され、しばらく通い続けました。ようやく求愛給餌シーンに出会えた際には心拍数が上がっているのが解り無我夢中でシャッターを押しました。命の繋がりや愛情をも感じさせられる一枚だと思います。
「青空へ飛び立つアサギマダラ」 (No.93 | 橋本 豪也)
昨今、台湾にまで飛来するというアサギマダラが話題となっています。藤袴という花を好む蝶で、近くの藤袴園にも来てくれました。花に止まっている蝶を撮るのは易しいですが、飛んでいる蝶を撮りたくて挑戦しました。ピント、シャッタータイミングなど難しい問題ばかりでしたが、まさに青空へ飛び立とうとする写真が撮れました。
「 太陽の恵みの七色の住まい」 (No.99 | 東阪 幸代司)
この写真は9月26日に大阪府立服部緑地公園で撮った2-30枚のうちの1枚です。蜘蛛の巣がカメラレンズのボケを利用する事でこの様に美しい画がとれることに驚きです。それから後、何度も挑戦するのですがこの時以上のものは撮れていません。
「森の妖精」 (No.101 | 木下 滋)
光るキノコ・シイノトモシビタケは、8月を除く5~9月頃の雨の多い季節に紀伊半島南部の海岸沿いの森で見ることができます。夜になると緑色に光るシイノトモシビタケは幻想的で、まるで森の妖精のようです。
「驚異の生命力」 (No.118 | 小佐々 正伸)
保護された原生林、これに初めて遭遇した時、自然の営みが生み出す造形に驚異と感動を覚えた。この周辺には同じように岩と巨樹とが悠久の時間をかけて葛藤する様々な造形を見ることが出来る。幾世代にも残していきたい自然の姿だ。
「天に舞う羽衣」 (No.148 | 小川 智教)
気温はマイナス20度、雪山という過酷な登山をしていると、時に色々な現象に出会うことがあります。ふと見上げた空にこんなにもハッキリとみられる彩雲はとても珍しく、すかさずカメラでシャッターを切りました。
「輪になって」 (No.163 | 松林 宏)
植物園を歩いていると視野のはずれに色彩豊かな物体が通り過ぎました。戻り探すと、ヒトツバタゴの葉の裏にカメムシの幼生が卵殻の周りに綺麗に輪になって並んでいました。その色彩と整列振りが面白く、写真に収めました。
「流しそうめん」 (No.33 | 桒原 良輔)
後日掲載予定
(写真をクリックすると大きいサイズで見ることができます。)
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中目黒アトラスタワー313
- TEL
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当財団は、ナチュラルヒストリーの研究の振興に寄与することを目的に、1980年に設立され、2012年に公益財団法人に移行しました。財団の基金は故藤原基男氏が遺贈された浄財に基づいています。氏は生前、活発に企業活動を営みながら、自然界における生物の営みにも多大の関心をもち続け、ナチュラルヒストリーに関する学術研究の振興を通じて社会に貢献することを期待されました。設立以後の本財団は、一貫して、高等学校における実験を通じての学習を支援し、また、ナチュラルヒストリーの学術研究に助成を続けてきました。2024年3月までに、学術研究助成883件、高等学校への助成127件を実施しました。