第7回中学生・高校生フォトコンテスト結果発表および受賞作品・コメント 2020.11.30
第7回中学生・高校生フォトコンテストの審査結果を発表します。以下は審査委員長からの講評、受賞作品および受賞者のコメントになります。
後日、応募いただいた全作品を掲載する予定です。
審査経過・講評
公益財団法人藤原ナチュラルヒストリー振興財団では、2020度も引き続き中高生を対象にテーマを決めたフォトコンテストを行った。今年度のテーマも「身近な自然史」とし、応募期間は2020年7月1日~9月30日、応募方法はメール添付および郵送とした。
募集方法としては、財団HPへの掲載、東京都生物教育研究会(都生研)、日本生物教育会(日生教)、その他過去の参加校等へ募集要項を郵送で配布、インターネットのコンテスト情報掲載サイト(登竜門)へ登録、また海外の日本人学校へメール・ファックス等で募集要項を送った。
応募作品は、148作品で、メール142作品、郵送6作品の応募であった。なお、海外の日本人学校からは5校15作品の応募であった(昨年は6校29作品)。
一次審査として、財団役員等が148作品から10作品を選び、その中からさらに最も良い作品を1つ選んだ。選ばれた作品をそれぞれ1点とし、最も良い作品はさらに1点を加算する事とした。集計の結果、3得点以上を得た作品を一次審査通過作品とし、23作品が選ばれた。
二次審査は、財団役員等が一次審査通過作品の中から、最優秀作品1作品、優秀作品2作品を選び、最優秀作品は1票で2点、優秀作品は1票で1点として集計した。その結果、9点を得た「a-100.雷神降臨」が最優秀作品に選考された。都会の上空に現れた稲妻の一瞬を捉えた作品であり、ちょうど龍が舞い降りたように広がっているのが見事である。
優秀賞作品には7点を得た「a-71. シオヤヤブの早いお昼ごはん」および6点を得た「a-101.ハチドリと桜」が選ばれた。前者はシオヤアブが餌にミツバチを捕らえた一瞬を、後者はハチドリが桜の花に吸蜜に来た瞬間を捉えた作品である。
また、このほかの2次審査に進み2得点以上を得た13作品を佳作とした。
今回も自然の様々な瞬間を切り取ったすばらしい作品が多かったが、どこかで見たことのあるような構図の作品も散見された。来年もオリジナリティの感じさせる作品の応募を期待する。
一次審査通過作品(この内、*マークのあるものが入賞作品)
「a-3.桃色のソファー」、「a-11.I love you」*、「a-22.日々の小さな幸せ」、 「a-34.よく見つけたな。でも、ワシ微毒あるで!」、「a-36.近そうで遠い」、 「a-38.今を生きる」*、「a-44.春の香りに誘われて」*、「a-50.冬の晴れた日に」、 「a-56.たった1つの命」*、「a-59. 滝を眺めるトノサマバッタ」*、 「a-64.さかさまの空と海」、「a-71.シオヤアブの早いお昼ごはん」*、 「a-79. ある日の帰り道」*、「a-83.水浴び」*、「a-96.雑踏の一瞬」*、 「a-100. 雷神降臨」*、「a-101. ハチドリと桜」*、「a-113.朝霧に集う」*、 「a-114.天文学の道」*、「a-116. めぐる水」、「a-128.君のいる世界を、いつまでも」*、 「a-138.bright eyes」*、「a-140. 子猫の大冒険」*【最優秀賞】
「雷神降臨」 (a-100 | 白武 璃子 | お茶の水女子大学附属高等学校 2年)
この度は最優秀賞に選んでいただき、ありがとうございます。この作品は、ある初夏の雷雨の夜に自宅ベランダから撮影したものです。雷雲が近づいてくる中、一瞬を捉えました。稲光の鋭さと高層ビルを今にも鷲掴みしそうな迫力にちなんで「雷神降臨」と名付けました。地球温暖化のせいか、激しい雷が増えたように感じます。カミナリ様も穏やかに過ごせるような環境作りが必要なのかもしれません。
(写真をクリックすると大きいサイズで見ることができます。優秀賞、佳作も同様です。)
【優秀賞】
「シオヤアブの早いお昼ごはん」 (a-71 | 三宅 浩平 | 立教新座高等学校 2年)
この度は優秀賞に選んでいただき、大変光栄に思っております。この写真は学校の生物部の活動で校内を散策していた際に偶然撮ることのできたものです。中央にいる大きな虫がシオヤアブというアブで、その右側で体液を吸われているのがミツバチです。小さな自然の営みが皆様に伝われば幸いです。
「ハチドリと桜」(a-101 | カプリンスキー 海 | サンフランシスコ日本語補習校 中学3年)
この度は優秀賞に選んでいただき、ありがとうございます!今年の春、庭でハチドリが桜の蜜をのんでいる姿を見つけ、カメラを取りに部屋に走ったのを覚えています。色鮮やかな桜の花とハチドリの姿を写真にとらえたい一心でした。これからも自然や野生の生き物の美しさをカメラで撮っていきたいと思います。
【佳作】
「I love you」 (a-11 | 有川 颯 | 東京都東久留米市立南中学校 1年)
この度は、佳作賞を頂きありがとうございます。僕は写真が好きで鳥を撮って2年がたちます。主にカワセミを撮っています。カワセミはとてもきれいな鳥で、誰もが幸せになる鳥だと思います。今回の受賞を機に写真の面白さに改めて気付きました。今後もカワセミを追い続け、また応募したいと思います。
「今を生きる」 (a-38 | 大姶良 日陽 | 橘学苑高等学校 2年 )
満開できれいな花たちが並ぶ庭園にて、ひとつだけ枯れていく花を見つけました。私にはどんな満開の花よりも魅力的に見え、思わずシャッターを切りました。もともと木の陰に隠れていたので周りは暗くなっていたのですが、さらにこの花を目立たせたいと思い、ISOを低くしたり、絞ったりして死へと近づく花の美を強調しました。
「春の香りに誘われて」 (a-44 | 松本 敬 | 中央大学附属中学校 3年)
今年はコロナで部活動の自然観察がほとんどできませんでした。これは昨春撮影した写真です。柔らかな日差しの下、満開のボケの中で飛び回るメジロの姿を思い出すと、暗かった僕の心にパッと彩りが広がる気がしました。来年こそは「当たり前の春」が戻ることを信じ、見た人の心が少しでも明るくなることを願います。
「たった1つの命」 (a-56 | 田中 将人 | 山口県立山口農業高等学校 2年)
佳作という賞を頂き、とても光栄に思っています。ヤドカリは、誰でも子どもの頃、手に取って見たことがあるでしょう。普段気にも留めない生き物を今一度注目してみることで、特別なものが見られる気がして、撮影しました。これからも日常の中の「特別」を見つけられるよう、撮影を続けていきたいと思います。この度はありがとうございました。
「滝を眺めるトノサマバッタ」 (a-59 | 森川 和仁 | 安曇野市立堀金中学校 3年)
この度は選んでいただき、ありがとうございました。初めてフォトコンテストに応募して、まさか佳作に選ばれるとは思ってもいなかったのでとても嬉しかったです。そして最後に、テーマ「滝を眺めるトノサマバッタ」はよく見たらイナゴだったことを訂正します。これを機に様々な写真を撮ってみたいと思います。
(注:専門家の意見では、「同定が難しいフキバッタの一種ではないか」とのことです。)
「ある日の帰り道」 (a-79 | 松本 陸翔 | 静岡県立袋井高等学校 1年)
この写真は僕が住んでいる袋井市で撮ったものです。学校からの帰り道、この日はいつもとは違う帰り道を通りました。川の向こうには白鷺が一羽、また一羽と飛び立って行きます。15年間生まれ育った街から素敵なプレゼントをもらったような気がしました。この景色はいつまで経っても変わらないでほしいと思います。
「水浴び」 (a-83 | 江上 大知 | 東京都立富士高等学校 3年)
選んでいただき本当に有り難うございます。雨が降らず猛暑日が続いた8月末、玄関先の植木鉢の受け皿の水に浸かっていたアズマヒキガエルを撮りました。水浴びをしているようで、少しお茶目でした。私の自宅は、渋谷、新宿から電車で10分。最近、古い家が取り壊され、土、緑、池が随分と少なくなりました。在る物を利用して生きる姿に感動しました。
「雑踏の一瞬」 (a-96 | 井上 恵治 | 東京都立小山台高等学校 2年)
この写真は二子玉川で撮った写真です。普段は雑踏する二子玉川も視線を変えるだけで違った見え方をする、都会だからこそ撮れた写真であったと思います。また、これはスマートフォンで撮った写真なのですが、身近なもので撮れる、写真の魅力が伝わってもらえれば幸いです。
「朝霧に集う」 (a-113 | 尾上 愛実 | お茶の水女子大学附属高等学校 2年)
この度は、佳作に選んでいただきありがとうございます。私は撮影地周辺でバードウォッチングを継続して行っていて、この写真はその際に撮ったものです。この写真のように複数種のサギが一つの畦道に集まって居るのはよく見かけるのですが、なぜそんな狭い範囲に大勢で集まるのかはわからないので、観察を続けていきたいです。
「天文学の道」 (a-114 | 金子 正直 | 学校法人市川学園 市川高等学校 3年)
福島県の浄土平で車中泊をした時に、天文台から夜空に向かって天の川が真っすぐに昇っていたので撮影しました。自分が撮りたいと思う新たな被写体に出会えたことに加え、このような素晴らしい賞をいただけたことに嬉しく思っています。ありがとうございます。
「君のいる世界を、いつまでも」 (a-128 | 戸田 友真 | 埼玉県立伊奈学園総合高等学校 2年)
ある暑い夏の日の放課後。ふらりと外へ出て、畔道を歩いている時にこの瞬間に出会いました。雲の間を、大きな羽で自由に飛ぶチュウサギは普段とちがう時間の流れを感じさせてくれました。またこの写真はチュウサギという鷺との初めての出会いにもなりました。改めて、学校の裏という、身近な場所にも自然が広がっているということを教えてくれました。
「bright eyes」 (a-138 | 湯村 晃尚美 | 藤女子中学校・高等学校 高校2年)
この度は、数ある応募作品の中から私の作品をお選びいただき、ありがとうございます。新型コロナウイルスの影響により、人間は生活環境を一変させました。しかし自然ではいつもと変わらぬ穏やかな春を迎えており、クマゲラの輝く瞳からは希望が感じられました。彼らが次の世代へと、新しい生命を繋いでいることを願います。
「子猫の大冒険」 (a-140 | 辞退)
(写真をクリックすると大きいサイズで見ることができます。)
東京都目黒区上目黒1丁目26番1号
中目黒アトラスタワー313
- TEL
- 03-3713-5635
当財団は、ナチュラルヒストリーの研究の振興に寄与することを目的に、1980年に設立され、2012年に公益財団法人に移行しました。財団の基金は故藤原基男氏が遺贈された浄財に基づいています。氏は生前、活発に企業活動を営みながら、自然界における生物の営みにも多大の関心をもち続け、ナチュラルヒストリーに関する学術研究の振興を通じて社会に貢献することを期待されました。設立以後の本財団は、一貫して、高等学校における実験を通じての学習を支援し、また、ナチュラルヒストリーの学術研究に助成を続けてきました。2024年3月までに、学術研究助成883件、高等学校への助成127件を実施しました。