第16回フォトコンテスト結果発表および受賞作品・コメント 2025.02.26
第16回フォトコンテストの審査結果を発表します。
以下は審査経過、審査委員長からの講評、受賞作品および受賞者のコメントです。
審査経過
公益財団法人藤原ナチュラルヒストリー振興財団では「自然史」をテーマとし、第16回フォトコンテストを行った。応募期間は2024年10月1日~11月30日、募集は財団ウェブサイトへの掲載のほか、インターネットのコンテスト情報掲載サイト(登竜門)への登録により行った。
本年度の応募総数は77作品であった。
一次審査として、財団役員等が応募作品から5作品を選び、その中で最も良い作品を1つ選び、投票を行った。選ばれた作品をそれぞれ1点、最も良い作品はさらに1点を加算し、集計の結果、3得点以上を得た13作品が一次審査を通過した。
二次審査は、財団役員等が一次審査通過作品の中から3作品を選び、その中で最も良い1作品を2得点とし、残りの2作品を1得点として集計した。最優秀賞は15点を得た「No.5 バンザイ」、優秀賞は9得点の「No.69 八つの瞳」及び8得点の「No.38 湧き水の砂浜」の2作品が選ばれた。また、4得点以上を得た6作品を佳作とした。
一次審査通過作品
「3. 秋空を舞う」(佳作)、「5. バンザイ」(最優秀賞)、「7. 素敵な関係」、「15. 春色キャンパス」、「17. 国破れてミツユビカモメあり」(佳作)、「18. 魚道・食堂」、「23. 森の灯火」、「38.湧水の砂浜」(優秀賞)、「44. 雲の海」(佳作)、「54. 天地を繋ぐ」(佳作)、「56. 命が消える瞬間」(佳作)、「69. 八つの瞳」(優秀賞)、「77. 数えたくなる」(佳作)
講評
本年度の最優秀賞には、「No.5 バンザイ」が選ばれた。3匹のカニが両手のハサミを上に挙げていて、顔の青とハサミの白が対照的でユーモラスな作品である。優秀賞の「No.69 八つの瞳」は、背景の木の葉が光で透けている中、樹上に留まっている4羽の梟が撮影者の方を見つめているような印象的な作品、「No.38 湧水の砂浜」は波打ち際の砂浜で、湧水が湧き出ている場所で窪んだ泥沼が出来ている場面を捉えた作品である。上記の作品以外にも6作品を佳作としたが、いずれも素晴らしい作品であった。
今回のフォトコンテストも自然の様々な側面を捉えた力作が多く集まってきていて、審査に苦労した。次回も自然の素晴らしさを表現した多くの作品の応募を期待する。
【最優秀賞】

No. 5「バンザイ」
富山 隆志
このたびは栄誉ある賞を頂き身に余る光栄です。年々厳しくなる地球環境で懸命に生きる生物の撮影を中心に活動しています。当地の干潟にチゴガニが生息するコロニーがあり、オス三匹が一緒に爪を上げる求愛行動の様子を撮影できたのは幸運でした。皆様に感動的なシーンをご高覧頂き、生物との「共生と循環」のあるべき姿を共に考えていければと思います。
(写真をクリックすると大きいサイズで見ることができます。優秀賞、佳作も同様です)
【優秀賞】
No. 69 「八つの瞳」
松林 宏
撮影場所の京都御苑には毎年アオバズクが飛来し、営巣子育てをします。巣立ち後しばらくは巣の周辺で親と一緒にいて撮影好機です。高い木の茂みの中で寝ていることが多く、写真のように親子揃った姿で、しかも目線をもらえてラッキーでした。日参した甲斐がありました。
【佳作】
No.3 「秋空を舞う」
伊藤 京子
ツマグロヒョウモンは求愛行動が長く、この日は一頭の求愛行動中に別の一頭のオスが参戦してのアピール合戦となりました。高く青い秋空に映えるオレンジ色の翅をメスにアピールしながら天高く飛んでいましたが、とうとう見えなくなるところまで飛んでいってしまいました。左上のメスはどちらのオスを選んだのかなと思う素敵な光景でした。
No. 17「国破れてミツユビカモメあり」
森井 悠太
ノルウェー北端よりさらに北 700 kmほど沖合に浮かぶ北極圏の孤島、スピッツベルゲン島。旧ソ連時代に炭鉱都市として栄華を誇ったゴーストタウン、ピラミデンはそこにある。放棄された多層建てのアパートメントには、この地を去ったヒトの代わりにミツユビカモメが住み着いていた。人工物にも逞しく生きる自然の姿がそこにはあった。
No. 44「雲の海」
城田 祥男
奈良県野迫川村は雲海で良く知られているのですが、雲海は晴れの日や風のない日、そして寒暖差があること等の天候条件が必要です。私は運良く雲の多い美しい風景に出会え、次々と変わる雲の表情に感動し、夜間にひとり車を走らせてきた疲れも吹っ飛ぶ思いでした。
No. 54「天地を繋ぐ」
平田 晃一
この度は 私の作品を選んでいただきありがとうございます。雷という狙ってもなかなか撮れない被写体に魅力を感じ、良いチャンスをうかがっていました。この日は夕方から怪しい天気になり 撮影ポイントを探しながら移動して開けた水田で撮影を開始しました。あまりにも激しい雷で車に避難しながら撮影した1枚です。
No. 56「命が消える瞬間」
佐藤 龍平
オオキベリアオゴミムシの幼虫はカエルを専門に食べるハンターだとか。見つけた時は、虫が生きたカエルに喰らいつく姿に衝撃を受けました。アマガエルの目から命の灯火が消えていく様子を見て、自然の厳しさを実感するとともに、生き物たちのせめぎ合いに強く惹きつけられました。
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当財団は、ナチュラルヒストリーの研究の振興に寄与することを目的に、1980年に設立され、2012年に公益財団法人に移行しました。財団の基金は故藤原基男氏が遺贈された浄財に基づいています。氏は生前、活発に企業活動を営みながら、自然界における生物の営みにも多大の関心をもち続け、ナチュラルヒストリーに関する学術研究の振興を通じて社会に貢献することを期待されました。設立以後の本財団は、一貫して、高等学校における実験を通じての学習を支援し、また、ナチュラルヒストリーの学術研究に助成を続けてきました。2024年3月までに、学術研究助成883件、高等学校への助成127件を実施しました。