ナチュラルヒストリーとわたし | 2008年8月 5日
著者: 岩槻 邦男 (兵庫県立人と自然の博物館)
第1話 ナチュラルヒストリー、博物学、自然史学
「藤原ナチュラルヒストリー振興財団」にはナチュラルヒストリーというかな文字が名称に含まれる。ナチュラルヒストリーは辞書では博物学と訳される。だからといって、藤原博物学振興財団といえば、受ける印象はずいぶん違ってくる。欧米語と日本語は、無理に対応させても意味がぴったり一致しないことが多いが、これは日本的、あるいはアジア的概念と欧米的概念が多かれ少なかれずれていることによる。言葉は概念である、といわれる。言葉によって、概念に統一がもたらされることもあるが、ごく微細な、しかし無用の行き違いがもたらされることもないわけではない。
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当財団は、ナチュラルヒストリーの研究の振興に寄与することを目的に、1980年に設立され、2012年に公益財団法人に移行しました。財団の基金は故藤原基男氏が遺贈された浄財に基づいています。氏は生前、活発に企業活動を営みながら、自然界における生物の営みにも多大の関心をもち続け、ナチュラルヒストリーに関する学術研究の振興を通じて社会に貢献することを期待されました。設立以後の本財団は、一貫して、高等学校における実験を通じての学習を支援し、また、ナチュラルヒストリーの学術研究に助成を続けてきました。2019年3月までに、学術研究助成773件、高等学校への助成95件を実施しました。